歯肉炎
プラークが歯の周りに付着することで歯肉に炎症が起こり、歯肉が腫れ、歯周ポケットが作られます。炎症の原因であるプラークが除去されると改善します。
歯周炎
歯肉炎が進行すると、歯を支えている骨(歯槽骨)にまで影響が及びます。歯ぐきから出血や膿が出たり、口臭も強くなります。歯槽骨が溶かされてしまい歯がグラグラして、最終的には歯が抜けてしまいます。
歯肉炎と歯周炎をあわせた歯周病には35~45歳で80%、45~55歳で88%の人がかかっているとの報告があります。
また歯肉からの出血、口臭、歯肉の腫れ、これら全ての症状は歯周病の予備軍となりえます。歯周病とは、歯と歯肉に近い部分についた歯垢(プラーク)の中にいる細菌によって引き起こされる病気です。歯と歯ぐきの境目についたプラークから、歯の根にそって歯周病原菌が入り込み、歯を支えている周りの組織をじわじわと壊していき、最後には歯が抜け落ちてしまいます。また、初期の歯周病はほとんど自覚症状がないため、気付かない間に悪化させてしまうことがよくあります。
歯周病は今や生活習慣病のひとつとも言われ、放置しておくと全身疾患を引き起こす引き金にもなりかねない病気です。また、歯を失う原因の大きな要因となっています。
歯を失う原因で最も多いのは「むし歯」ではなく「歯周病」です。「歯周病」によって歯を失う方は35歳頃から増加し、45歳以降では「むし歯」を抜いて歯を失う主原因のトップになります。
歯周病の主な原因はプラーク内の細菌です。歯周病原性細菌から出される毒素によって歯周ポケットが作られます。ここは細菌にとって住みやすい環境です。歯周ポケットの中では歯周病原性細菌が毒素をどんどん作り出し、歯周病を悪化させていきます。 歯周病が悪化すると歯ブラシを当てただけで痛くなり、ブラッシングが疎かになります。 そうなると、さらに歯周病が悪化するという悪循環に陥ってしまいます。
近年、歯周病原性細菌が全身の様々な疾患に影響を与えていることを示す研究結果が多数発表されてきています。 歯科医師、歯科衛生士と一緒に「歯周病」を治しましょう。
歯周病の治療とは?
歯周病のもっとも基本的な治療法は、プラークコントロールです。病原性プラークを除去し、口の中のプラークを正常なレベルに維持し、環境を整えることが重要です。そのために通常、プラークや歯石の除去とブラッシング指導が行われます。それでも改善しない場合は歯ぐきを切除したり、歯の周りの骨の形を整えたりといった外科処置を行うこともあります。
当院では歯周内科治療を取り入れています。
これまでの歯周病治療は原因となる細菌を、器具を使って取り除くものでした。歯ブラシで歯に付着した細菌の数を減らし、歯石取りで細菌の住みかを取り除き、深い汚れは歯周外科手術で歯ぐきを骨から剥がして汚れを取り除く治療が主流でした。これだけ頑張っても全ての歯周病を改善させるのは不可能でした。歯周内科治療はこのような従来の治療法に加え、薬で歯周病を治療しようという考え方です。この治療法には5つの大きなポイントがあります。
① 位相差顕微鏡での菌の確認
カビ(カンジダ)菌
カビはどんな人の口の中にもいます。空気中を飛んでいますし、食物中にも入っています。歯ブラシで清掃していても磨きづらい部分に溜まり成長していきます。カビですので臭いがあり、ネバネバした感じもあります。カビが溜まって成長すると歯ぐきに根をおろし、炎症を起こして簡単に出血するようになります。カビが根を下ろすときに酸を出し、知覚過敏を引き起こすこともわかってきています。
スピロヘータ
本来口の中にいてはいけない、いわゆる悪玉菌です。動きが速く、この菌がいると他の悪玉菌も増えてきます。この歯周病菌がいるということは現在歯周病が進行している状態か、将来歯周病が非常に進行しやすい状態にあるといえます。逆にこの菌がいないと歯周病は進行しづらいことになります。
②細菌を除去する薬剤の内服
顕微鏡で確認した歯周病菌に効果のある薬剤を処方します。
③カビを除去する薬剤での歯みがき
④カビ除去後の歯石取り
⑤定期的な細菌検査、クリーニング
除菌後の良い状態を維持させるためにも定期的なクリーニングが必要になります。歯周病は感染症ですので、再感染を起こさないためにも口の中を隅々まで徹底的にクリーニングすることをおすすめします。